筆跡鑑定の基本

テレビドラマや小説等では、筆跡鑑定の中でも一般的に偽筆(※1)について取り上げられる事が多く、その影響か真筆(※2)であることを証明するよりも、偽筆であることを証明するために筆跡鑑定をおこなうイメージが強いようです。

しかし、筆跡鑑定を正しくおこなえば、その結果は“偽筆“となる場合もあれば、逆に“真筆”となる場合もあります。

これは、山田太郎(仮名)さんが書いたとされる遺言書の筆跡について筆跡鑑定をおこなっても、鑑定結果は他人によって書かれた文字である“偽筆“となることもあれば、山田太郎さん本人が正しく書いた‟真筆”となることもあるという意味です。

当然のことでありますが、筆跡鑑定は、基本的に“偽筆”であるか、もしくは“真筆”であるかの2つに分かれます。

(※1) 他人の筆跡を真似て書いた文字

(※2) その人(本人)が本当に書いた文字

 

偽筆を証明するよりも真筆を証明する鑑定のほうが難しい?

公平な筆跡鑑定とは

至極当然のことですが、筆跡鑑定は“偽筆”もしくは“真筆”という鑑定結果を事前に定めて、もしくは想定しておこなうものではありません。

以前、同業他社が依頼人に寄り添う事を第一にと謳っているのをみたことがありますが、依頼者の意向に添って真偽鑑定をしていたのでは、筆跡鑑定というものを根底から否定する事になるでしょう。

公平な視点で鑑定をおこない、その結果を依頼者に伝えるのが正しい筆跡鑑定です。

文字は同一人が書いたものであっても書く都度変化する

たとえ同一人が書いた文字であったとしても、その「文字」あり方は毎々変わります。

微細であっても、文字は書く都度変化するもので、厳密にいうと全く同じ文字はこの世に存在しません。

書いた文字の外面が毎度変化する理由として、一括りでいえば、筆記条件が変化する事が挙げられます。

具体的には、筆者の体調の変化、文字を座って書くあるいは机の上で書く等の違い、また、縦書き・横書きという違いでも文字の外面は変化することがあり、その他記入枠の大きさ等によっても、文字のあり方は変化します。

このように、文字は同一人の書いたものであっても変化するため、徹底的に文字の外面の違いのみについて追及すれば、“文字の外面が全て違う=別人の筆跡”という、事実とは逆の鑑定結果になってしまうこともあり得るのです。

 

文字外面の異質性のみを列挙して“偽筆”と主張する鑑定書も存在する

当センターの作成する筆跡鑑定書は、裁判の提出書類として利用される場合が多く、相手側(被告もしくは原告側)から提出された筆跡鑑定書を読む機会も多くあります。

実際に相手側から提出された筆跡鑑定書を確認すると、文字の外面の違いのみについて指摘したものが多々見受けられます。

先に述べた通り、文字は書く都度変化するものであり、文字外面の違いに限って徹底的に追求すれば、筆跡特徴の不一致点が列挙された一辺倒の鑑定内容となるのです。

したがって、どのような筆跡鑑定の内容であっても、筆跡の性質上、異質性について主張することが可能であるため、法曹の専門家の方々には、この筆跡鑑定の基準や性質を十分に理解して頂きたいと思います。

理解して頂くことによって、インターネット等で時々見かける筆跡鑑定に関しての不審感や不満が大幅に減少するのではないかと考えます。

 

まとめ

これまで述べてきた通り、‟偽筆“である事を筆跡鑑定で主張するよりも、“真筆”であることを主張する方が、筆跡鑑定の難易度が上がります。

筆跡鑑定書を作成する上で重要なのは、筆跡鑑定が公平且つ正確におこなわれる事、また、それを説明、主張(表現)できる技術です。

筆跡鑑定では異同検証が正しくおこなわれることが最も重要ですが、あわせて“偽筆”或いは“真筆”であるかの判断に至る“基準”を明確に表現することも不可欠となります。

しかし、これらを明確に表現することは容易ではなく、近道もありませんが、当センターの作成する筆跡鑑定書では、この最も重要な“基準”を明確にするため、兎にも角にも鑑定基準や鑑定内容を可能な限り詳細に記載する事に努めています。

 

最後に

最近、“真筆”筆跡鑑定の依頼が増加しています。

ともすれば、業界全体として真筆である事を明確に示すことができる筆跡鑑定人が少ないのかもしれません。

筆跡鑑定の内容や結果は、筆跡鑑定をおこなう筆跡鑑定人によって異なります。

遺言書等にある筆跡について、相手側から偽筆の疑いがあると主張されお困りの方や、他鑑定機関にて筆跡鑑定書の作成を断られた方(納得した結果報告が得られなかった方を含む)がいらっしゃいましたら、どうぞご相談下さい。

当センターでは、依頼人様の要望によって鑑定結果が変わることはありませんが、真実を追求した鑑定結果を得ることが可能です。

勿論、偽筆について疑いをお持ちの方もどうぞご相談下さい。

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