事前鑑定(鑑定書作成前調査)の料金について

筆跡鑑定の料金について以前にもこのブログで説明しましたが、料金に関してのお問い合わせを一番多く頂いているため、今回は事前鑑定(鑑定書作成前調査)費用(料金)についてお伝えしたいと思います。

 

筆跡鑑定料金の形態

まずは、筆跡鑑定料金の内訳ですが、基本的に事前鑑定(鑑定書作成前調査)費用と、筆跡鑑定書作成費用に分けられます。

 

事前鑑定(鑑定書作成前調査)の仕組み

事前鑑定(鑑定書作成前調査)には、筆跡鑑定書を作成する必要があるか或いは不要であるかという、筆跡鑑定についての重要な“見極める役割”が有ります。

この事前鑑定(鑑定書作成前調査)の料金は、主に調査をおこなう文字の種類が何種類あるかで決まります。

基本的に、筆跡鑑定は同じ文字でのみ鑑定が可能です。 手書きされた平仮名「あ」の筆跡鑑定を、同じく手書きされた平仮名の「い」と検証することはできません。

「あ」は「あ」で検証し、「い」の検証は同じ「い」で検証します。

また、「峯」と「山」の“山”の部分について検証できるかといえば、参考程度にこの筆跡を検証に使用する事は可能ですが、厳密には筆跡鑑定に使用することはできません。

例えば、契約書に記載された手書き文字について筆跡鑑定をおこなうとします。

その契約書の署名欄には「令和3年9月4日 山田太郎」と記されていて、照し合せる側の筆跡資料には「平成29年4月6日 山田太郎」と記されているとします。 この各文字群にある検証可能な共通の文字を調べると、「年」・「9」・「月」・「4」・「日」・「山」・「田」・「太」・「郎」という、計9つの共通した文字が取り上げられます。

このように検証の対象(対照)となる文字を選定し、その種類の数が多くなれば事前鑑定料金が上がる方向となりますが、当センターには事前鑑定(鑑定書作成前調査)の基本料金内に取扱い文字についての規定数があり、その範囲であれば規定料金のみで事前鑑定をお受け頂けます。

その際、注意頂きたい点としては、費用を抑えるためにご依頼者様側で事前鑑定をおこなう範囲を指定されることはお奨めできません。

何故なら、筆跡鑑定をおこなう事案の多くは十分といえる筆跡資料にて鑑定をおこなえることが少なく、更に筆跡鑑定費用を抑える目的で鑑定範囲を狭くしてしまうと、正しい筆跡鑑定ができなくなってしまうからです(筆跡鑑定は徹底的に検証をおこなわないと、同一人あるいは別人の筆跡であることを突き詰めることが出来ません)。

 

追加料金とは?

案件によっては、数多くの筆跡について検証が必要な場合があります。

これは、筆跡鑑定の精度を高める場合や筆跡鑑定の内容について信憑性を更に高める為におこないます。

前述の条件と同じく、検証をおこなう文字は「年」・「9」・「月」・「4」・「日」・「山」・「田」・「太」・「郎」という計9つであっても、数多くの資料より同じ文字を選定、検証をおこなう場合には、追加料金が発生することがあります。

ただ、このような場合はまれで、ほとんどの案件では検証をおこなう文字数(文字の種類の数とは異なる)が多くなることによって料金が上がることはありません。

 

資料選び等を必要とする複雑な案件は料金があがる?

案件によっては、各筆跡資料から検証で使用する手書き文字を選定し、筆跡鑑定をおこなうだけではなく、多くの筆跡資料の内容について確認し、その中からより有効な筆跡資料を選び使用することが必要とされる場合があります。

裁判案件によっては、争点となっている資料と、各事案の経緯により効果的な筆跡資料が異なる場合があります。

ご依頼者様から案件の顛末や経緯を伺い、より良い筆跡資料を選定することも筆跡鑑定では重要となります。

仮に、資料Aと資料Bがあり、筆跡鑑定の技術的には“資料A”の方がより強く同一人(或いは別人)ということを明らかにすることが可能であっても、案件の経緯等によって“資料B”を使用した方が良いというケースもあります。

そのような専門的な見地で、より有効な筆跡資料を選定する作業等に多くの時間が掛かる際には追加費用が掛かる場合もあります。

 

まとめ

これまでの説明の通り、事前鑑定(鑑定書作成前調査)は、

◆ 筆跡鑑定をおこなう“文字の種類”がいくつあるか

◆ 筆跡鑑定をおこなう“文字の数”がいくつあるか

◆ 調査を含めて筆跡資料がどれくらいあるのか

これら3点にておおよその事前鑑定(鑑定書作成前調査)料金が決まりますが、その中でも料金を決める主な要素は“検証をおこなう文字種類の数”です。

その点については無料にてお見積をご依頼頂ければ、具体的なお見積料金が算出できます。

事前鑑定(鑑定書作成前調査)の報告後にご依頼頂く、筆跡鑑定書作成料金は事前鑑定の内容によって変化します。

特に裁判で使用する本鑑定書に関しては検証をおこなう文字の種類によって大きく異なるため、まず事前鑑定をおこない、順を追ってお見積いたします。

本鑑定書の料金設定については、別の機会にこのブログにて説明したいと思います。

 

最後に…

筆跡鑑定のご依頼やお問合わせ、ご相談について一般の方はご経験がなく、実際に当センターへご相談頂く多くの方々が初めての事であるとおっしゃられます。

筆跡研究開発センターでは、“筆跡鑑定のすべてがはじめて”という依頼者様のご状況にあわせ、担当の筆跡鑑定人が詳しく丁寧にご相談に応じております。

インターネットでのお問い合わせは筆跡鑑定という性質上、その内容について把握しづらい面があり、打ち合わせ、やり取りにお時間が掛かる傾向にあります。

初期段階でのお問い合わせに関しましては、電話でのお問い合わせをお奨め致します(必要な書類、筆跡資料を集めるポイント等、丁寧にご説明いたします)。

電話でのお問合わせ 筆跡研究開発センター:03-6362-9161(平日9~17時、土曜日9~11時受付)

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