筆跡鑑定の依頼を2段階に分ける目的とは

一般的に筆跡鑑定の依頼といえば、“調べたい(疑わしい)筆跡”と“照らし合わせる側の筆跡”を鑑定し、筆跡鑑定書を作成する迄の一連の流れの事をいいます。

当センターで筆跡鑑定のご依頼を頂く際には一般的な受注のあり方と異なり、2段階に分けてご依頼をお受けしています。

具体的には、まず「事前鑑定(鑑定書作成前調査)」のご依頼をいただき、その後に「筆跡鑑定書作成」のご依頼をいただくという流れです。

依頼者様の負担を軽減することを最優先に考えた結果、このように受注を2つに分けることになりました。

今回は、その受注形式を2つに分けておこなっている目的について、詳しく説明したいと思います。

 

第一の目的は「無駄な費用を抑えたい」

筆跡鑑定をご依頼される際には、依頼者様が鑑定対象となる筆跡について偽筆(他人の文字に似せて書かれた文字)であると、既に疑いをもたれているケースがあります。

例えば、依頼者様の亡くなられた後に、お父様の自筆証書遺言(書)が出てきたとします。

その遺言書が出てきたタイミングや遺言書に記載された内容、そして記されている文字の書き癖等に違和感があり、その点について明らかにしたいという理由で筆跡鑑定を依頼されるケースがあります。

この場合、2段階でご依頼をいただくうち、最初の段階「事前鑑定」の報告内容が“亡くなられたお父様の筆跡ではなく偽筆”であれば、それを証明する筆跡鑑定書が必要になる可能性が高くなり、多くの場合「事前鑑定」の依頼に続いて次のご依頼である「筆跡鑑定書作成」へと続きます。

遺言書にある筆跡が“亡くなられたお父様の真筆(自筆)”でなければそれは大ごとですから、遺言書自体に疑いがあることを主張する側であれば筆跡鑑定書の作成は自然な流れとなります。

しかし、依頼者様の疑いとは異なり“亡くなられたお父様の真筆(自筆)”であった場合には、筆跡鑑定書を作成してもその先に利用価値(提出先等)がない場合もあります(勿論、依頼者様の立場が異なり遺言書自体に疑いがない事を主張する側であれば、真筆であることを主張する筆跡鑑定書の作成が自然な流れ)。

せっかく費用をかけて筆跡鑑定書を作成しても、事前鑑定の報告内容や依頼者様の立場によって筆跡鑑定書は利用価値がないものとなる可能性もあるわけです。

当センターではこのようなケースを想定し、ご依頼を「事前鑑定」と「筆跡鑑定書作成」の2つに分けて、筆跡鑑定書が必要な方へは「事前鑑定」のご依頼と「筆跡鑑定書の作成」の2つをご依頼いただき、逆に「事前鑑定」の報告の内容により、依頼者様が筆跡鑑定書を利用できないものであると判断された場合には、「事前鑑定」のみのご依頼に留めていただいております。

このように、“2段階の受注形式”にしている1つ目の目的は、依頼者様のご負担いただく費用に無駄が生じないようにする為です。

 

第二の目的は「筆跡鑑定に要する時間の短縮」

2つ目の目的は、依頼者様(の筆跡鑑定について)の時間的なご負担を軽減する為です。

依頼者様が筆跡鑑定をご依頼になる場合には、時間について限り(期限)がある事が多くあります。

それは、「次の裁判まで時間がない」、「一刻も早く筆跡鑑定の方向性を確認し、今後の打合せ時間を確保したい」等、依頼者様によってその理由は様々です。

裁判までに時間がない場合には、依頼者様は一日でも早く筆跡鑑定の方向性を把握されたいと思いますし、裁判前の打ち合わせに限らず全般的に打合せとは時間が掛かるものです。

打合せ等を円滑におこなう為にも、筆跡鑑定についての無駄な時間を省き、可能な限り余裕がある方がよいと考え、依頼者様が筆跡鑑定の依頼に掛ける時間をできる限り短縮できるよう“2段階の受注形式”にしています。

当センターでは、まずは「事前鑑定」の報告をスピーディー且つ的確におこない、弁護士様も含めいち早く筆跡鑑定の方向性を把握して、お役に立てていただきたいと考えています。

 

最後に

依頼者様にとって「事前鑑定」と「鑑定書作成」の分離発注は、理解しづらい部分があるかも知れませんが、既に利用された依頼者様からは多数の好評価を頂いております。

ご不明な点につきましては当センターまでお気軽にお問合せ下さい。

インターネットでのお問い合わせは筆跡鑑定という性質上、内容について把握しづらく、打ち合わせ・やり取りにお時間が掛かる傾向にあります。

初期段階でのお問い合わせに関しましては、電話によるお問い合わせをお奨めします(必要な書類、筆跡資料を集めるポイント等、丁寧にご説明いたします)。

案件ごとの条件や状況にあわせ、担当の筆跡鑑定人が詳しくご説明・ご提案いたします。

電話でのお問合わせ 筆跡研究開発センター:03-6362-9161(平日9~17時、土曜日9~11時受付)

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宜しくお願い致します。