今回のブログでは、ご依頼者様が“事前鑑定(料金税込11,000円~)”を依頼される際にご用意いただく筆跡資料に関して、あらためて詳しくお伝えしたいと思います。

ぜひ、事前鑑定のご依頼前にお読みください。

事前鑑定の必要資料とは

事前鑑定に必要な筆跡資料は、大きく分けて下記の①,②があります。

①問題となっている筆跡がある資料(対象筆跡資料)

②照し合せる側の筆跡がある資料(対照筆跡資料)

これら①,②の必要資料のうち、まず、“①問題となっている筆跡がある資料”は資料の数、また、文字の数を増減させることができない筆跡資料のため、ご依頼者様に何かを施していただくことはありません。

ただ、筆跡資料をお預かりする際、ご依頼者様には各筆跡資料をできるだけ綺麗にスキャンもしくはコピーをしていただき、資料の折れ曲がりや斜め撮り等が無いようにお願いしています。

次に、“②照し合せる側の筆跡がある資料”についてですが、こちらはご依頼者様のご手配やご尽力によって筆跡資料の内容を充実させることが可能で、結果として、筆跡鑑定の内容も充実する場合が多くあります。

したがって、②の対照筆跡資料を充実させることは、ご依頼者様が筆跡鑑定を依頼される上で最も重要であるといえます。

“照し合せる側の筆跡がある資料”を集める際の重要なポイントとは?

そこで、充実した“②照し合せる側の筆跡がある資料”を集めるための重要なポイントを、ここから詳しく説明していきます。

照らし合わせる側の筆跡がある資料(対照筆跡資料)の“性質”

筆跡鑑定は、問題となっている筆跡が何処に書かれた文字であっても、概ね問題なくおこなうことができます。

メモ帳に書かれた走り書き、怪文書に書かれた韜晦(とうかい)筆跡(※1)でも筆跡鑑定をおこなうことは可能です。

しかし、筆跡鑑定が限りなく公正におこなわれたということを突き詰めたい場合には、注意すべきポイントがあります。

それは、“照らし合わせる側”の筆跡資料の“性質”です。

筆跡鑑定で使用する“照し合せる側”の筆跡が、確実に本人の筆跡であるか・・・その信憑性が重要となります。

一例を挙げて説明すると…

Aさんが、遺言書にある筆跡が遺言者本人の筆跡であるか否かについて筆跡鑑定を依頼しました。

“照らし合わせる側”の筆跡資料として「遺言者の日記」を提供し、その鑑定結果は“同一人の筆跡”であったとします。

この場合、問題となっている筆跡は遺言書にある手書き文字ですが、筆跡鑑定を依頼する際にAさんが提供した、“照らし合わせる側の筆跡”である真筆(※2)とされる「遺言者の日記」に遺言者以外の別人の筆跡が含まれていないとしても、その遺言書について紛争中であった場合、相手側から『「遺言者の日記(照らし合わせる側の筆跡資料)」には別人の筆跡が含まれていて、筆跡鑑定書にある鑑定結果は信憑性に欠ける内容である。』と指摘されることがあります。

そのようなことはあり得ないと考える方もいらっしゃると思いますが、謂れのない疑いを掛けられることも実際の裁判ではあります。

前述のような、相手側からの無駄な指摘箇所をつくらないため、“照らし合わせる側”には確実に真筆(故人の直筆)であることの裏付けが可能な資料の出処が明らかにできる公的な筆跡資料が望ましいといえます。

“照らし合わせる側”に望ましい筆跡資料とは…

具体的に、

  • パスポート
  • 契約書
  • 役所への各種提出届(婚姻届、養子縁組届、その他)

など、住所、氏名、日付、電話番号を含む、真筆といえる筆跡がある筆跡資料となります。

また、この照し合せる側の筆跡資料は、原本ではなくコピーでも概ね問題はありません。

逆に、

  • 日記
  • メモ
  • 手紙

などの私的な筆跡資料は、本人の筆跡(真筆)であることを明らかにすることが難しい傾向にあり、無駄な指摘をされてしまう可能性が考えられるため、これら資料にある筆跡を筆跡鑑定の“照らし合せる側”として使用する際には、注意が必要です。

 

(※1) 己が書いたことを他人に気付かれないように書いた文字

(※2) その人(本人)が本当に書いた筆跡

 

最後に…

これまでの説明のとおり、筆跡鑑定において、“照らし合わせる側の筆跡資料”の選定は大変重要であり、その“性質”の一つをとっても突き詰めの度合いは変化し、筆跡鑑定の出来が変わる可能性があるということをご理解いただけましたでしょうか。

基本的に筆跡鑑定の情報は少なく、インターネットでは誤った情報も見受けられます。

完成度の高い筆跡鑑定書の作成、充実した鑑定内容にするためにも、筆跡資料の準備や収集に関しては、担当の筆跡鑑定人と十分な打合せをおこなって下さい。

ここ数年は、スマートフォン等の普及により、一般の方からのお問い合わせも増加しています。

その状況に合わせ、当センターでは、担当の筆跡鑑定人が詳しく丁寧にご説明できるよう努めております。

しかし、インターネットでのお問い合わせは筆跡鑑定という性質上、その内容について把握しづらい面があり、打ち合わせ・やり取りにお時間が掛かってしまうことが多くあります。

このような理由から、初期段階でのお問い合わせに関しましては、お電話によるお問い合わせをお奨めしております。

お電話を頂ければ、当ブログの“照し合せる側の筆跡資料”についても更に詳しくご説明いたします。

また、どうしても前述の公的な筆跡資料が集められないという場合もあるかと思いますので、まずは一度、当センターへご相談ください。

※ご説明には15分以上掛かる場合が有ります。お時間には余裕をもってご連絡くださいますようお願いいたします。

電話でのお問合わせ 筆跡研究開発センター:03-6362-9161(平日9~17時受付)

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