先日、有名弁護士が自身のYouTubeチャンネルで筆跡鑑定について言及していました。

この弁護士は動画の中で、筆跡鑑定書について「裁判所が100%の信頼を置いていない」と述べ、その他にも「明らかに筆跡が違うケースでは、この筆跡は違うと思われるという判断になりやすいが、筆跡が似通っているケースでは、“決定打になることはない”」と説明しています。

裁判所の筆跡鑑定に対する信頼度とは

まず、この動画からおもうのは、筆跡鑑定に限らず、裁判所が元来100%の信頼を置く鑑定はあるのかということです。

筆跡鑑定人は平素、原告や被告またはそれぞれの弁護人より依頼を受けて筆跡鑑定書を作成しますが、裁判所からの直接の依頼によって、裁判所の嘱託鑑定人として筆跡鑑定をおこなう場合もあり、それは裁判所から一定の信頼を得ていることを意味しています。

裁判所が筆跡鑑定に100%の信頼を置いているかは不明ですが、他にあるDNA鑑定や指紋鑑定等についても同じことがいえます。

信憑性と鑑定人の技量は比例する

次に、「明らかに筆跡が違うケースでは、この筆跡は違うと思われるという判断になりやすい」と述べていますが、これはそのとおりだと思います。

誰がみても異なる筆跡は、筆者別人と裁判所も判断しやすくなるため、当然です。

続いて、「筆跡が似通っているケースでは、“決定打になることはない”」と弁護士は説明していますが、裁判では原告と被告のそれぞれから提出された各資料をしっかりと確認し判断するわけですから、裁判所は一つの資料(証拠)のみで判断をすることはありません。

そして、“決定打になることはない”については、筆跡鑑定の信憑性の問題ではなく、作成された筆跡鑑定書の内容の問題であり、この説明は筆跡鑑定への誤った解釈となっています。

要するに、“内容が伴わない筆跡鑑定書を裁判所に提出しても決定打にはならない”ということです。

筆跡鑑定は、鑑定をおこなう鑑定人によって取り上げられる筆跡特徴が異なり、そこに筆跡鑑定の優劣が生じます。

取り上げ損ねた筆跡特徴、また、誤って取り上げた筆跡特徴があれば、筆者が別人であってもその違いを正しく指摘することが出来ず、決定打には至りません。

日本では古くから“古筆見(こひつみ)”と呼ばれる筆跡鑑定人がいたように、筆跡鑑定はとても長い歴史の中で時代の変化に対応しながら、現在においても有効な手段(鑑定手法)となっています。

そして現状、筆跡そのものが裁判の争点となった場合には、筆跡鑑定が原告や被告の主張の基本となり、欠かせない資料(証拠)となっていることは紛れもない事実です。

鑑定人選びは慎重に

繰り返しになりますが、裁判所が嘱託鑑定人を定め筆跡鑑定を依頼する以上、筆跡鑑定の信憑性が問われることはありません。

重要なのは、筆跡鑑定をおこなう鑑定人が真筆あるいは偽筆を正しく見極められるかどうかということです。

インターネットで検索しても、筆跡鑑定を取扱う鑑定機関は多くあり、多くの筆跡鑑定人が筆跡鑑定をおこなっています。

しかし、筆跡鑑定を依頼される際は筆跡鑑定の情報が十分にあるとはいえず、何処に依頼したらよいのか悩む方が多くいらっしゃいます。

先ずは気になる鑑定機関に問合せをおこない、不明点や疑問点、鑑定の見通しを明確に説明してくれる鑑定人を探してみて下さい。

円滑なやり取りをおこなうため、直接、担当の筆跡鑑定人に相談ができる鑑定機関がお薦めです

 

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