依頼者が日常の生活をしている中で、筆跡鑑定の取扱う機関や筆跡鑑定人と出会う可能性はほとんどないでしょう。
理由は筆跡鑑定人そのものが少ないという事もありますが、一般的に一生で一度依頼する事があるかないかという筆跡鑑定ですから、筆跡鑑定を依頼しなければならないタイミングに信頼できる専門機関や筆跡鑑定人と出会える可能性はほぼありません。
現代において信頼のおける鑑定人を探すのは、やはりインターネットで情報を集める事が近道となるでしょう。
では、どのような事に気を付けて鑑定人を探すべきでしょうか。
良い鑑定人を見つけ出すポイントは幾つかありますが、その1つに「筆跡鑑定の専門機関であるかどうか」という点がポイントに挙げられます。
当センターは東京にありますが、北海道から沖縄まで全国から依頼が入ります。
現実的には直接お会いして打ち合わせをする機会をもつことが出来なくても、筆跡鑑定書作成の打ち合わせは依頼者と電話やSkypeで必ず直接やり取りをしています。
他の業務でも同じ事がいえると思いますが、細かな説明や条件など、直接打ち合わせをおこなわないと伝わらない事項があるものです。
特に複雑な事情など個別の条件が異なる筆跡鑑定書の作成については細かな打ち合わせが必須であり、それがより良い筆跡鑑定書の作成に繋がっていきます。
業者によっては代理店として筆跡鑑定を取り扱い、肝心な筆跡鑑定人は実際のところ外部の人間というケースもあります。
当センターにも他の鑑定取扱い機関から筆跡鑑定を頼めないかと打診があったりしますが(お受けした事はありませんが)、この場合は鑑定書を作成できる筆跡鑑定人がその機関にはおらず、下請けに鑑定業務を丸投げしている事になります。
このようなケースでは代理店としての手間賃が筆跡鑑定書作成費に上乗せされる事になりますから、おのずと鑑定書料金が高くなってしまいます。
料金の高い筆跡鑑定書は注意が必要です。
筆跡鑑定書の依頼は筆跡鑑定人が常時在籍しており、筆跡鑑定を専門に扱っている機関に依頼する事をお奨めします。
その他にも信頼のおける鑑定機関選びについて「実績」も重要なポイントです。
筆跡鑑定人は技術者ですから、職人として数多くの鑑定作業をこなし鑑定書を作成する事により腕が磨かれていくところがあります。
従って、各鑑定機関にて掲げられた鑑定実績は十分に評価されるべきものですが、実際に実績をあげた鑑定人が既にその鑑定機関に在籍していない場合があります。
その主な理由は筆跡鑑定人の高齢化です。筆跡鑑定人の中には警察の科捜研を定年で退職し、その後独立して鑑定事務所を開設している人がいます。
このような理由もあり全体的に筆跡鑑定人の平均年齢はとても高く、現役の筆跡鑑定人の中にも90歳近い高齢者もいるのです。
名のある鑑定人であっても残念ながら既に亡くなられている場合もあり、このような場合でも過去に在籍していた鑑定機関に実績が残ります。
筆跡鑑定人は技術職ですから、担当する筆跡鑑定人によって筆跡鑑定書の質は大きく変わるものです。
多数の実績を有した鑑定機関であっても実際に誰が筆跡鑑定を行うのか確認し、依頼したい鑑定人がいる場合はその鑑定人の在籍を確認した方が良いでしょう。
また、筆跡鑑定書の作成を取扱う機関の中にはDNA、指紋等を含めた他の鑑定業務をあわせて扱っているところが多く、そのような場合は鑑定実績も筆跡鑑定のみではなく全取扱いの鑑定実績をうたっている場合もありますので注意が必要です。