筆跡研究開発センターには、日々さまざまなお問い合わせを頂いておりますが、最近は筆跡鑑定の基本的な事柄についてのお問い合わせが多くなっています。ここではお問合せが多い筆跡鑑定の基本的な内容について説明していきたいと思います。筆跡鑑定が必要であるかどうか、また筆跡鑑定を依頼するのに適した機関を選ぶ為にも、基本的ですが依頼者の方に最低限知って頂きたい筆跡鑑定の専門的な事柄です。筆跡鑑定について知識のある方には当たり前と思う内容も含まれていますが、その場合はご確認用として今一度お読み頂ければと思います。

筆跡鑑定にはまず事前調査を

筆跡鑑定とは人が書いた文字を鑑定する行為そのものを指します。一般的に筆跡鑑定は筆跡鑑定書の発行をもって鑑定結果をお伝えしている事が多いのですが、本来は古美術の鑑定人が虫眼鏡を用いて対象の品を凝視するあの行為そのものをいい、書類を作成して記録に残したりしない場合も鑑定という事ができます。

事前鑑定とは

当センターでは鑑定のメニューに「事前鑑定」というものを設定しています。名称を「事前鑑定」としていますが、内容は事前調査と同じ意味合いのものです。これは10800円から行う事ができる、とてもスピーディーでリーズナブルな筆跡鑑定です。「事前鑑定」の最大のメリットは早く安価に行える為、気軽に筆跡鑑定が行えるところにあります。

◆ご依頼者が事前鑑定を利用する際のメリット 

  •  スピーディーに筆跡鑑定の調査報告が受けられる
  •  費用が安い
  •  鑑定書を作成しない場合は当センターに個人データも残らず安心

◆ご依頼者が事前鑑定を利用する際のデメリット

  •  筆跡鑑定書が発行されない

筆跡鑑定書を作成する場合に時間とお金がかかる理由

人によって、「なぜ筆跡鑑定書は料金が高いのか?」とおっしゃる方がいます。当センターでも全体のお問合せの中で料金についてのご質問は大変多いですが、筆跡鑑定書の料金が高くなってしまう理由はどのようなものでしょうか。

一番の理由は、筆跡鑑定書を作成する作業時間にあります。筆跡鑑定の検証箇所はとても多く、裁判官をはじめとし、誰にでも理解できる鑑定書の作成が必要です。鑑定資料にある文字の入筆や送筆、また終筆のあり方、そして文字が構成される線の向きや湾曲の仕方、このような事を文字の画ごとにチェックしていき、文字そのものの姿勢やレイアウト、他に書かれた文字との関係など一文字についてでも数百からのチェック箇所があります(実際にはもっとチェック箇所がありますが具体的な内容については内緒です)。これら筆跡の異同検証の詳細を鑑定書ではわかり易く示していきます。作成時間でいえば、当センターで本鑑定書をひとつ作成した場合、平均で一ヶ月ほど掛かります。

人の書く文字は書く都度に変化しますから、様々に変化する書き文字を全てデータ化する事は不可能です。この現代においても、筆跡鑑定を完全にコンピューターで行う事はできません。もしコンピューターで筆跡鑑定ができるのであれば、難解な筆跡鑑定も安価かつスピーディーに行えるかもしれませんが、毎度変化する筆跡について詳細に異同検証する事は他の事例と重なるものは無く、その分鑑定料金が高くなってしまうところがあります。このような事から、当センターでは、はじめから筆跡鑑定書を作成することはせず、先ずは安価に行う事ができる「事前鑑定」をお勧めしているのです。事前鑑定にて鑑定内容を確認して、その後、必要であれば筆跡鑑定書の作成を依頼すればいいのです。

鑑定の内容がスピーディーに報告される事は、鑑定の結果や方向性について知りたい依頼者にとってメリットがあります。事前鑑定後に鑑定書を作成しない場合は、当センターにデータが残らない方式をとっていますので個人情報も残らず安心です。筆跡鑑定書が発行されない事についてはデメリットとも言えますが、追加依頼を頂ければ、事前鑑定の報告内容にて引き続き筆跡鑑定書を作成する事ができますので問題とはなりません。因みに鑑定書作成に進まれる場合は、既に支払われている事前鑑定料の10800円分が、筆跡鑑定書作成費から値引きしております。

最後に、事前鑑定の報告内容がお考えと異なっていた場合は?

 数多くのご依頼の中には、このようなケースに至る場合もあります。パッと見によく似ている2つの筆跡があったとしても筆跡鑑定は検証するポイントが数多くあり、多くの筆跡特徴の不一致点が確認される事もあります。これは前述した通りです。実際の筆跡鑑定内容とご自身のお考えが相違する場合もあります。その場合は事前鑑定のみで作業を終了し鑑定資料を返却しています。個人情報などは当センターに残りません。

 

実際に事前鑑定を依頼される場合はどうぞお気軽にお問い合わせ下さい。どのような筆跡資料が適しているか等、筆跡鑑定についての必要事項をお電話にて詳しく説明致します。